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大野町みらいろこども園

移ろいゆく環境と出会う場


 岐阜県大野町における、少子化と老朽化に伴う二園の統廃合および現地建て替えによる定員60名の統合園の計画である。旧園舎は築50年の鉄筋コンクリート造の2階建てで、園児や保育士たちの制作物があふれる明るい園舎だったが、雨漏りや断熱性能の不足、バリアフリー未対応といった課題があった。本プロジェクトは、地域の保育環境を守る最後の砦として構想された。
 

 敷地西側にある伊吹山からは、冬季に「伊吹おろし」と呼ばれる冷たく鋭い強風が吹きつける。厳しい風から園庭や保育室を守ることを最優先し、敷地西側に南北に長いボリュームを配置した。
 

 園庭側に保育室や遊戯室を、道路側に調理室や諸室を配置した。園庭側と道路側で建物の角度を変えることで、玄関から奥へ歩いていくと遊戯室やプレイコーナー、絵本コーナーなど廊下と一体の場所が次々に現れる計画とした。
 

 建物は、全長約70mの木造平屋で、中廊下型を基本とした。屋根を長手方向に、東側の片流れ屋根、中央の片流れ屋根、西側の折れ屋根、に分節し、これらの屋根をずらすことで生まれた裂け目から、刻々と移ろう光が差し込む園とした。南北軸の配置により、午前中は直射光が空間を明るくし、子どもたちが午睡に入る午後には穏やかな間接光へと変化する。中廊下に光と影を受ける大きく長い壁を設けることで、内部にいながらも自然環境の変化を感じられる場所となった。
 

 中央の片流れ屋根の頂部は、中廊下を横断するように蛇行させている。これにより天井高は約4m~6mへと変化し、南側の未満児保育室側から北側の以上児保育室に向かって、明るく天井の高い空間になる。同時に、西側の屋根は中央の屋根頂部の軌跡をトレースし、周囲の山並みに呼応する折れ屋根とした。
 

 この園舎において中廊下は特別な場所である。各コーナーや遊戯室との境界をあえて曖昧にしている。そのため静と動の活動が入り乱れ、子どもたちは年齢も関係なく居場所を取り合うかもしれない。また、時間と共に変化する光によって居場所を変えるかもしれない。そんな活動の多様性や複雑性を許容している。この様な場所の提案は時代が求める保育に対応した結果とも言える。今回の建て替えによって、時代と共に“変わる保育”と町が大切にしてきた“変わらない保育”とが両立できれば嬉しい。この建築が,厳しい環境から子どもたちを守る砦となり,同時に自然の豊かさを享受する場所として,大野町の未来を育んでいくことを願っている。

大野町立認定こども園プロポーザル 最優秀賞

​​期間:2023.07-2026.03

用途:こども園
敷地面積:4,831,11㎡
建築面積:1,031.71

延床面積:1,010.81㎡
階数:平屋
構造:木造

構造設計:片岡構造

設備設計:環境設備計画

​サイン計画:hokkyok

共同設計:​​カイトアーキテクツ、CEMプトラ建築設計

© イシバシナガラアーキテクツ

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